制 — SYSTEM

しくみ

約260の藩と幕府による統治、身分制、町奉行と自治、寺子屋の教育、参勤交代、そして長崎・対馬・薩摩・松前という「四つの口」での対外関係。江戸日本を動かした制度の全体像。

楊洲周延『千代田之大奥』より(明治期に江戸城大奥の年中行事を回顧して描いた錦絵)
楊洲周延『千代田之大奥』より(明治期に江戸城大奥の年中行事を回顧して描いた錦絵)。画像: Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

この間口の項目

農業の実際→

年貢は米で納めた。だが稼ぎは米ではなかった。干鰯を買い、木綿と菜種を作った現金経済としての農業。

法と裁きさばき→

公事方御定書は公開されていない。庶民が見られたのは「してはならぬこと」だけだった。

人身売買じんしんばいばいと奉公ほうこう→

禁じられたのは行為ではなく形式だった。永代の売り渡しは禁じ、年季を切った奉公は認めた。

人別帳にんべつちょうと無宿むしゅく→

江戸時代の「戸籍」と、帳の外に生きた人々。

江戸の成り立ち→

人の流れとモノの動きが、湿地の湊町を百万都市に変えるまで。

身分と社会→

「士農工商」は実態ではなかった。教科書が変わった話。

町奉行まちぶぎょうと自治→

百万都市を、驚くほど少ない役人が回していた。

藩はんと城下町じょうかまち→

軍事施設として設計された都市の骨格が、今も残る。

寺子屋てらこや→

読み書き算盤。世界屈指の識字率を支えた民間教育。

参勤交代さんきんこうたい→

大名の定期移動が生んだ経済と街道。

長崎と出島でじま→

「鎖国」ではなく「四つの口」。最新研究の視点。

隣の間口にもまたがる項目

主の間口は別だが、この面からも読める記事。一つの営みは、たいてい二つの間口に足をかけている。

花札はなふだとかるた→

主は「遊 — あそび」 幕府が禁じるたびに、道具のほうが姿を変えて生き延びた

花見と花火→

主は「遊 — あそび」 桜は植えさせたもの、花火は許したもの。遊興は統治と表裏だった

賭けごと — 禁令きんれいと、それでも続いた賭け→

主は「遊 — あそび」 丁半、かるた、取り締まりのいたちごっこ

賭けごと — 賭場とばと貸元かしもと、そして富くじとみくじ→

主は「遊 — あそび」 賭けを商売にした者たちと、公認という抜け道

儒学じゅがくと学問→

主は「藝 — げい」 朱子学は幕府の学問だったが、それが全てではなかった

百姓ひゃくしょうたちの江戸時代→

主は「人 — ひと」 人口の8割は、どう生きて、どう動いたのか

女の一生→

主は「人 — ひと」 制度のなかの女 — 家という単位のなかで、女性は代表にはなれなかった。だがそれは、家の中で何もしていなかったことを意味しない

老いと隠居いんきょ→

主は「人 — ひと」 隠居という仕組み — いつ、どうやって役を渡したか

火事と火消しひけし→

主は「住 — くらし」 水で消すのではない。壊して守る町だった

高札と町触 — 法は読ませるより、言い聞かせて届けた→

主は「報 — しらせ」 字が読めなくても、知らされる仕組み

くずし字→

主は「報 — しらせ」 読めなくなったのは、字が難しいからではない。制度が変わったからである

全項目が五つの窓(しくみ/江戸と今/同じころ世界では/アジアのいま/広告と評判)と出典・確度欄を備える。

版 20261023 0727