報 — MEDIA & ADS

しらせ

瓦版が速報を売り、引札がチラシとなり、錦絵がグラビアとなり、評判記と番付が口コミをメディア化した。江戸は広告とメディアの実験場だった。

広重『名所江戸百景 両国橋大川ばた』。橋の上を人が行き交う
歌川広重『名所江戸百景 両国橋大川ばた』(安政3年〈1856〉)。橋の上は人が最も集まる場所であり、瓦版が売られ、噂が回るのもここだった。画像: Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

この間口の項目

引札ひきふだ→

越後屋が撒いた「チラシの元祖」と江戸のコピーライター。

瓦版かわらばん→

火事も地震も心中も速報した街頭ニュース。

錦絵にしきえ→

版元・絵師・彫師・摺師の分業が生んだ大衆ビジュアル。

評判記ひょうばんきと番付ばんづけ→

相撲の番付表を借りて、何でも東西に分けて格付けした。

看板と暖簾のれん→

字が読めなくても分かる印。暖簾は信用そのものだった。

貸本屋かしほんや→

本を担いで貸して回る商売。読者はほとんど買わなかった。

高札と町触→

法は読ませるより、言い聞かせて届けた。

版元と本屋仲間→

本の持ち主は、版木を持つ者だった。

隣の間口にもまたがる項目

主の間口は別だが、この面からも読める記事。一つの営みは、たいてい二つの間口に足をかけている。

流行りはやりもの→

主は「遊 — あそび」 流行は自然に起きたのではない。作られ、売られたのである

戯作げさくと黄表紙きびょうし→

主は「藝 — げい」 表紙が黄色い薄い本。中身は子ども向けではなく、大人の笑いと風刺だった

くずし字→

主は「報 — しらせ」 読めなくなったのは、字が難しいからではない。制度が変わったからである

全項目が五つの窓(しくみ/江戸と今/同じころ世界では/アジアのいま/広告と評判)と出典・確度欄を備える。

版 20261023 0727