商 — COMMERCE
あきない
金・銀・銭の三つのお金が同時に流通し、両替商が金融を回した。越後屋の「現銀安売無掛値」は世界に先駆けた定価販売革命。江戸の商いには現代ビジネスの原型が詰まっている。
この間口の項目
三貨制度→
金・銀・銭。三つの通貨が同時に流通した経済圏。
引札と越後屋→
1683年、江戸中に撒かれた「チラシの元祖」。
損料屋→
「持たない暮らし」を商売にしたレンタル業。
両替商→
分銅の看板。銀行の原型となった金融業。
質屋→
質草を預けて銭を借りる。庶民の日常的な信用インフラだった。
株仲間→
同業の組合であり、幕府にとっては統制の道具でも財源でもあった。
問屋と仲買→
物を持たずに物を動かす。口銭で食う商売の仕組み。
三井と越後屋→
現金掛値なし。掛売りが当たり前だった世界への挑戦。
掛売りとツケ→
その場で払わないのが普通だった。盆と暮に精算する暮らし。
堂島の米相場→
米を動かさずに米を売る。武士の給料を銭に換えた市場。
商家の奉公人→
丁稚から暖簾分けまで、二十年近い選抜。
隣の間口にもまたがる項目
主の間口は別だが、この面からも読める記事。一つの営みは、たいてい二つの間口に足をかけている。
富くじ→
主は「遊 — あそび」 賭けに見えて、じつは寺社の修復費を集める公共事業だった
厠と下肥→
主は「住 — くらし」 排泄物は、捨てるものではなく買われる商品だった
ごみとリサイクル→
主は「住 — くらし」 捨てるものが、ほとんど無い町だった
薬と、医者にかからない治療→
主は「住 — くらし」 薬種商、按摩・鍼・灸、そして家の中の手当て
銭の使い方→
主は「住 — くらし」 日銭で入り、日銭で出ていく家計
着るもの→
主は「住 — くらし」 新品は高すぎた。だから古着が主役だった
江戸の仕事 — 元手のいらない仕事→
主は「住 — くらし」 担ぐ、運ぶ、拾う——身ひとつで始められた稼ぎ
江戸の仕事 — 腕を売る仕事→
主は「住 — くらし」 職人の手間賃、女の稼ぎ、そして腕一本の裏側
伊万里焼の輸出 — 中国の穴を埋めた有田の磁器→
主は「世 — せかい」 連れて来られた陶工の技が、ヨーロッパの宮殿に届くまで
版元と本屋仲間→
主は「報 — しらせ」 本の持ち主は、版木を持つ者だった
棒手振り→
主は「食 — たべる」 天秤棒ひとつで魚も野菜も届く、江戸のデリバリー網
百万都市の胃袋→
主は「食 — たべる」 人口100万の江戸は、何をどれだけ食べたのか
全項目が五つの窓(しくみ/江戸と今/同じころ世界では/アジアのいま/広告と評判)と出典・確度欄を備える。